みなさん冬休みはいかがお過ごしでしょうか。私個人としては、昨年12月に「Nikon Z 50(以下Z50)」を購入し、先日12ヶ月分割払いを完済しました! その記念に、1年間の総括として使用感をまとめていこうと思います。

結論から言うとZ50は「今までありそうでなかった本格派小型軽量機」「予算10万円前後でミラーレスカメラがほしい人全員におすすめできる(が…)」という印象です。
最初に言っておくと私は何機種も渡り歩いた機材マニアではないのでお手柔らかに。
ニコンの一眼レフを使っていて
私は高校生のころからニコンの一眼レフD5500を使っていました。ニコンを選んだ理由は、グリップが深く手に馴染んたこと、シャッター音が気に入ったことなどです。
大学に入ってからもD5500を使っていましたが、カメラに詳しくなり様々な機種に触れたり撮影経験を重ねたりするにつれ、入門機としての機能性や操作性に不満を感じていました。(WB、感度、ボタンの少なさ、AF…)
なにより最新のミラーレスカメラを使って感動したのがEVF(電子ファインダー)です。EVFなら撮影時にファインダーを見ながら露出やホワイトバランスなど撮影後の仕上がりが見れ、拡大表示でピントを細部まで確認できます。高速の動き物はほとんど撮らない自分にとって従来の光学ファインダーってメリットないのでは、と思うほどの衝撃でした。
待望のニコンAPS-Cミラーレス発表
買い替え先としてニコンのミラーレスを検討しましたが、当時発売されていたのはZ6、Z7のみ。フルサイズだとレンズを揃えるのが厳しかったことや小型機種がほしかったこともあり、一旦保留にし別のメーカーのAPS-Cミラーレスに目を向けることにしました。
C社はプラスチックの丸っこいボディデザインが気に入らず、S社はモニターとファインダーが小さくて解像度も低くストレスになりそう、F社はグリップが浅すぎるのとレンズが古くAFも遅い…といった具合になかなか納得のいくカメラが見つかりませんでした。
そんなタイミングで発表されたのがニコン初のAPS-Cミラーレスカメラ、Z50でした。Z6/7の操作体験をほぼそのまま継承した合金製のミニチュアのようなボディ、最新の画像処理エンジンと仕上がり補正、最新設計のレンズ、お値段はダブルズームキットが約15万円。D5500の弱点をほぼ全て克服し、マウントアダプターで手持ちのFマウントレンズも使える。見た瞬間、これでいいやん!と思いました。キャッシュバック期限や在庫切れ寸前だったことなどが色々重なり12月中旬にお迎えし、今に至ります。
外観

見た目はニコンの一眼レフをかなり意識しているなという印象です。目を引くのが主張の強いファインダーとグリップで、これがZ50のセールスポイントだと思っています。改めて見るとZマウントって大きいですね。
とくに嬉しかったのがフロントコマンドダイヤルとマウント横の2つのファンクションボタンです。上位機種譲りの操作性をしっかり受け継いでいます。

ボディにはマグネシウム合金が使われていて廉価機にあれがちなひ弱さを感じさせません。最近流行りのジョイスティックがなく少し寂しい背面ですが、右手で完結する操作性はZ6/7を上回っています。地味にストラップ部はニコンではミドルクラス以上の機種につく三角環がついていて嬉しくなりますね。
背面液晶は今どきでは珍しいチルト液晶です。かなり可動域が広くいざとなったら自撮りもできますが、後述の専用プレートがないと三脚穴とかぶってしまいます。
良かったところ
最新設計のZマウントレンズがすごい
ダブルズームキットについてくるレンズが「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR」です。Z50最大の売りはこのレンズが使えることと言っても過言ではないです。

16-50はとにかく薄いのが目立ちます。付けてみるとほぼ箱。冬ならアウターのポケットに収まります。Zマウントの高画質、換算24mmスタート、最短撮影距離0.2m、4.5段手ブレ補正、早くて静かなAFとかなり万能で写真でも動画でも使い勝手抜群です。S社やF社のこのクラスのレンズは電動ズームでコンデジっぽい印象でしたが、このレンズは手動ズームなのでとても使いやすいです。安いレンズでも手を抜かないのがニコンのすごいところだと思います。

※全て編集なし撮って出しです


クリエイティブピクチャーコントロール「カーボン」

APS-CのセンサーにZマウントの大口径は無意味では?という声もありますが、ニコンはそれに対する回答をちゃんと用意しています。
カメラの交換レンズの内部は、複数の光学レンズと機構部品が重なるように構成されています。マウント径が大きくなるとレンズ内部のスペースに余裕ができるため、部品配置の自由度が拡大し、レンズ鏡筒の全長の短縮に有利になります。
Z 50 技術が詰まった小さなミラーレス
以上のように、Zマウントの大口径はレンズの薄型化にも有利だそうなので、今後の薄型レンズにも期待が高まります。
対して50-250ですが、実はこっちがZ50大本命レンズだったりします。買うなら絶対ダブルズームキットにしましょう。お兄さんとの約束です。

絞り開放からキレッキレの解像度でAPS-C望遠レンズとしては恐ろしい描写力です。強力な5段手ブレ補正と軽さのおかげもあり、使っていてかなり楽しいレンズです。




(下手くそですみません)
グリップとファインダーがすごい
Z6/7でもそうですが、ニコンのミラーレスカメラといえば握りやすいグリップと見やすいファインダーです。カタログスペックでは語れない写真の楽しさに関わってくる部分がニコンは優れていると思います。
とくに各社の廉価ミラーレスはこのへんが小型化やコストカットで中途半端な出来になりがちですが、Z50は妥協のないグリップとファインダーのおかげで一眼レフのときと同じような感覚で「しっかり握ってファインダーを覗きながら撮る」を味わえます。体感ではD5500のOVFよりもZ50のEVFのほうが遥かに見やすく綺麗でしかも便利。とくにMFレンズを使うときのピント合わせは感動的な体験だと思いました。それだけで使うのが楽しくなります。
スマホとの連携がすごい
予想以上に感動したのがスマートフォンアプリ「SnapBridge」との連携です。この常時Bluetooth接続が他社と比較してもめちゃくちゃすごい。まさに旅の相棒。カメラがスマホと完全連携します。
ペアリングを済ませてしまえば、スマホ側の操作はBluetoothをオンにしてアプリを立ち上げるだけ。カメラ側も接続をオンにしておけば自動的に繋がってくれます。
スマホと常時接続しておくと、スマホから位置情報を受け取り写真に埋め込むことができ、さらにその写真を200万画素に圧縮して自動的にスマホに転送してくれます。その時間はわずか10数秒!D5500ではいちいちWi-Fi接続して一枚ずつ選択して転送していたのに、あの時間はなんだったのか…。オリジナルサイズや動画はWi-Fi接続に切り替える必要がありますが、その切り替えも非常にスムーズで使い勝手最高です。これだけでも買い替える価値があると個人的に思いました。
細部のUI・UX
ちょっと引くくらい驚いたのが、全てのボタンの形や出っ張り方、押し心地が微妙に異なるところです。慣れてくると触っただけでどのボタンか分かるようになります。
例えば、背面に並んだ4つのボタンは再生>メニュー>iメニュー>消去ボタンの順で突出しています。シャッターに隣接する3つのボタンも動画ボタンと露出補正ボタンの周りには段差ができていてISOボタンと差別化されており、押し心地も3つとも異なるものです。ボディ前面のFnボタンもFn2には出っ張りがあって撮影時に見えなくてもわかりやすいです。
ほかにも、各ダイヤルの絶妙な回し心地(メインダイヤルはちょっと微妙)、右手親指だけでも回しやすいモードダイヤル、革の触り心地、内蔵フラッシュ展開時の上品な感触、静止画/動画切り替えレバーの気持ちよさ(感触も静止画⇄動画で異なる)など細部にいたるまでこだわりを感じさせます。
その他思うこと
チルト液晶
最近のカメラとしては珍しくZ50はチルト液晶を採用しています。YouTuber需要でバリアングル液晶が全盛の時代にこれは勇気ある判断だったと思います(180度展開して自撮りはできますが)。

個人的にはバリアングルよりもチルトのほうが使いやすいです。バリアングルは横でも縦でもローアングルが撮りやすいですが、ちょっと見たいだけでも展開する際横に広げて一回転させる必要がありこれが面倒です。撮影スタイル的にも横位置が多いので手間がかかるデメリットのほうが大きく感じてしまいます。要は慣れなのですが…。
細かい設定
カスタムメニュー>b露出・測光>b2露出補正簡易設定>ONにすると、絞り優先モードのときはメインダイヤルが独立した露出補正ダイヤルになります。いちいち露出補正ボタンを押さなくても露出を変更できるので重宝しています。D5500から買い替えるにあたり一番重要視した箇所だったりします。
カスタムメニュー>f操作>f5ボタンのホールド設定>ONにすると、ニコン機あるあるの「押しながらダイヤル」から、「押してダイヤル(他社並み)」に変更できます。指の負担を減らすのに有効なのでONにしています。
ニコンの(とくに古い)デジタル一眼といえばオートホワイトバランス(AWB)のときに色が黄色っぽくなる傾向があります。現在は画像処理エンジンが第6世代になりかなり改善されましたが、Z50でも室内でAWBだと暖色寄りになりやすく色が濁ったような印象を受けることがあります。これはAWBの詳細設定からBlue+4〜5に設定することで改善されます。
ミラーレスといえばマウントアダプター
そもそもZ50にした理由が手持ちのFマウントレンズが使えるというところだったので当然FTZを購入。D5500のときよりAFが正確になった気がしますし、瞳AFや回折補正も使えるのでより便利になった印象です。




オールドレンズもファインダーの拡大表示のおかげで格段に使いやすくなりました(そしてなぜかMFレンズ用F→Zアダプターを購入…)


うーんなところ
ここまで散々褒めちぎってきましたが、コストカットを余儀なくされたところがいくつか見られました。ここを妥協できるかが購入のポイントになると思います。
ボディ内手ブレ補正がない
ボディ内手ブレ補正(IBIS)がないのはサイズと価格を考えると妥当とは言えますし、キットレンズには強力な手ブレ補正が搭載されているのであまり気になりませんが、今年フジフイルムから発売されたX-S10はほぼ同じ大きさでIBISを載せてきたのでやはりZ50も載せてほしかったなと思います。何より単焦点レンズを使うときの撮影の幅があるとないでかなり変わるので後継機種に期待です。もう最新機種の標準装備になってほしいですね。
暗所のAF
期待を下回ったのは暗所でのAF性能です。ローライトAFをONにしてもAFはかなり迷います。とくにFTZを介してFマウントレンズを使うときがしんどい。明所でのAFはZ6よりもすごいのでは?と思うときがたまにあるだけに惜しいところです。ただこれはミラーレス機全般に言えるので難しいところですね。
SDカードの位置
SDカードスロットはバッテリー室と同居していてカードが取り出しにくいです。D5500では右手親指で蓋を開閉できる位置にあったのでここだけは不便になりました。後述のプレートとも相性が悪いです。
micro USB&給電不可
USBで充電できるのは便利ですが、最近流行りのType-Cではなくmicro USBなのが惜しいポイントです。充電が遅いのと差込口に裏表があるのが面倒です。また、給電に対応していないのも不便だなと思いました。
動画の電子手ブレ補正
電子手ブレ補正をONにするとクロップされるうえ、横に振ったとき無理やり補正しようとしてグニャッとする歪な動画になります。光学手ブレ補正を載せたレンズを使って動画を撮るのが現実的と思われます。
おすすめ周辺機器
SmallRig LCN2667
もともとは三脚を使いながら自撮りをするためのアイテムなのですが、FTZの出っ張りと小指余りを改善するために使っています。全体のデザインも良くなりますし、よりガッチリ握れるようになり、しかも安い。付けるだけでZ50の頼もしさが上がる良い製品だと思います。

写真の初代2525だとバッテリー室を塞いでしまいSDカードが取り出せず不便なので、改良版の2667がおすすめです。
レンズフードは非純正がおすすめ?
レンズキットにはフードが付いてきません。純正品は値段が高いのでちょっと…という人はAmazon等で互換製品を買うのも一つの手です。
16-50用に関しては互換製品が出る前に純正を買ったのですが、互換製品にはフードの上にフィルターを重ねることができるという純正にはないメリットもあるようなので少し羨ましい…。
おすすめ動画 (※2021年3月5日追記)
Z50購入の背中を押してほしい人はこちら。シャッター音やサイズ感を確かめられます。
Z50とフジフイルムX-S10で迷われている方は以下が参考になると思います。風景写真出版はZ50推しのようで個人的に嬉しいです。
上動画要点まとめ
Z50 → オールマイティー。フルサイズ機と共通マウントで操作系も近くステップアップできる楽しみがある。Zマウントはアダプターであらゆるレンズが使える。Zマウントレンズの評判が良い。
X-S10 → フジフイルム特有の難解さがない。ダイナミックレンジが広く風景写真向き。ボディ内手ブレ補正有。上位機種よりも深いグリップ。同社他機種と操作系が違いすぎて併用やステップアップが難しいのが欠点。
個人的には、運動会など動きものを撮る可能性があるなら望遠ズームのクオリティが高くAFとファインダーの性能も高いZ50がおすすめです。また操作性重視ならカスタムボタンが多いZ50がおすすめです。
さいごに
だいたい10万円台で買えて、小型の割にグリップとファインダーがしっかりしてて取り回しがよく、キットズームのクオリティも高い機種って、実は今までありそうでなかった。おまけに瞳AFは人間でも犬猫でも速くて、スマホとの連携はスムーズで、4K30p動画がクロップなしで撮れる。Z50はわがままな私の要望にも応えてくれる素晴らしい機種だと思いました。
Z50は使っていて本当にストレスの少ないカメラです。何ももたつくことなく狙った通りの画が撮れる。いつでも持ち運べて手足の一部になった感じで気持ちよく使うことができる不思議な感覚です。世の中にはスペックに秀でたカメラがたくさんあります。スマホのカメラもそうです。しかし、こんな感覚を楽しめる機種は自分にとってそうそうないのだろうなと思います。
最後にこれだけは言わせてください。Zマウントレンズ少なすぎるーーーー!!!!!
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