「f」は、撮る道具として究めた精密機器の感触と高画質の「融合」を表す「fusion」。そして、ニコンの歴史を築いてきたカメラを象徴する「f」の2つの意味があります。「c」には、誰もがこの伝統を受け継ぐカメラを「casual(気軽)」に持ち出してほしいという願いを込めています。
Z fcパンフレットより
Nikonといえばというクラシックな外観にポップなカラーがマッチした絶妙なデザイン、細部に作り込みが感じられるのに軽量のボディ、中身は写真も動画も1台で万能にこなせる最新ミラーレス一眼…
発売前からこれだけ話題になったカメラが今まであっただろうか?というくらいに今盛り上がっているのが、先日ニコンから発表された「Nikon Z fc (以下Zfc)」です。かくいう私も、あまりの驚きでこみあげるものがあり久しぶりにブログを書いてみようと思ったほどです。ちなみに28mm単体は予約しました。
以前、私は愛用する「Nikon Z 50 (以下Z50)」について語った記事を書きましたが、ありがたいことに毎日そこそこのアクセスをいただく記事になりました。Zfcは、そのZ50の中身をアップグレードして外観をフィルムカメラにした機種といえます。
実機を体験
さっそく私はZfcが展示されているニコンプラザ大阪へ足を運び、少しの間ですが実機に触ることができました。(本命は同時発表の28mmでしたが)

まず、圧倒的にデザインが良い。Z50はどでかいグリップにモードダイヤルと現代的で、とくにペンタ部が丸く出っ張っていてなんともいえないダサさがあるのですが(個人の感想です)、Zfcは非常に洗練されたスタイリッシュな見た目をしています。これだけでがぜん欲しくなりますね。

ダイヤルの回し心地もいい感じで、設定次第でただの飾りになるのに意味もなく触ってしまいます。アルミ削り出しはすごい。シャッター音はどのZシリーズとも違うフィルムカメラらしい音がします。公式PVのイメージそのままでほぼ間違いないと思います。ファインダーもZ50同様この価格帯では最高クラスの性能でしょう。あと見た目に反して異様に軽い。フィルムカメラのイメージで持つと軽すぎて驚くかもしれません。やや安っぽく感じるかも?ほかにも、ボタンのさわり心地や押し心地がそれぞれ微妙に違うといった異常なこだわり(ニコンあるある)もしっかり感じることができました。良くも悪くも値段相応という印象です。
カラーバリエーションは革張り替えで好きな色に変更できるのが凄いですね。しかも5000円は格安です。色は商品画像よりも鮮やかに見える色が多いと感じました。青系や黄色系など今後の展開にも期待が高まります。

それ以外に良いと思ったところを羅列していきます
- ペンタ部と背面の出っ張りが小さくなり鞄に収めやすい
- USB-TypeCで給電にも対応
- 瞳AFの強化(ワイドエリアAF、動画でも対応)
- ファインダーが丸窓でなんか嬉しい
- 拡大表示等のボタンが物理ボタンに変更
- スマホアプリを経由してアップデート可能
- バッテリーがやや改善(Z50は内蔵フラッシュの分少なめに見積もられている可能性有)
逆に私が思うZ50が優れている点を挙げます
- 握りやすいグリップ
- 内蔵フラッシュ
- 再生ボタンが右手側
- ファンクションボタンが1個多い
- ユーザー設定を登録できダイヤルで瞬時に切替可能
- チルト液晶(個人的にバリアングルより好きですがここは用途次第)
今からならどちらを買うかと言われたら私は間違いなくZfcにしたと思います。Z50で出来ることはフラッシュを除けばZfcでカバーできますし、AFもUSBも性能アップして、何より見た目が圧倒的にかっこいい。そして鞄への収まりがいい。それだけでわざわざ持ち出すモチベーションになります。
私はZ50があるのですぐに買い替えるということはしないですが、例えばブラックエディションとかキャッシュバックとかが発表されたら…
Zfcに期待すること
ニコンとは何かと縁のある私が思うZfcに期待すること、それは新規顧客の創出です。ここでいう新規顧客というのは、他のメーカーを使っている人というよりは、今までカメラをほしいと思っていたけどなかなか手を出せなかった人、という意味合いです。
これはいつの時代どのジャンルにも言えることですが、新規で客を獲得できない業界に未来はありません。現在のカメラ業界はスマホカメラの性能向上に押され新規客がなかなか得られず、乱立するメーカーが少ないパイを奪い合う世界になっています。これを打開する方法は一つしかありません。今までカメラがほしかったけどなかなか手が出せなかった層を振り向かせるような機種を作り新たな需要を生み出すことです。
Zfcは、まさにそんな機種になるのではないかと勝手に期待しています。商品展開やプロモーションを見てもわかる通り、ニコンはZfcで今までとは違う客層へ向けてアプローチしているのは明白です。Zfcはそこをかなり的確についてきた機種であると私は考えています。私も友人からカメラをはじめて買いたいのだけれどおすすめは何かと聞かれることは多いですが、そういう人たちは以下で共通していることがほとんどです。
- 予算は最大10万円前後
- 見た目はなるべくスタイリッシュ(レトロ調やレンジファインダー型)
- 細かい性能はとくに気にしない
- 交換レンズを買い足す気はあまりない
実際に買おうとしている人はともかく、なんとなくカメラほしいと思っている人の多くもこれに当てはまるのではないかと思います。そしてそういう人のほとんどは種類が多すぎてよくわからない上に決め手に欠けるから結局買わないという人が大多数のはずです。
そこで発表されたのがZfcです。まずはブランドがニコンだということ。ニコンと言えば昔からカメラ作ってる老舗としてなんだかんだ今でもかなりの知名度のはず。名作と呼ばれる映画にもニコンのフィルムカメラはたびたび登場しますよね。そんなニコンが往年の名機FM2を現代の技術で蘇らせたとなればそこにストーリーが生まれます。これだけでもカメラファンは嬉しいものですが、それに留まらず最大の特徴であるカラーバリエーションを7色用意するという大胆な戦略を打ち出しました。ちょっとお堅いイメージの企業がこんな製品を出すのかと話題になるのも無理はないでしょう。思わずこんなカメラいつかほしいと思った人もたくさんいたはずです。これだけ話題になればじゃあ自分は何色にしようかと考える人もいたと思います。私なんてすぐに買う予定もないのに何色にするか迷ってますからね。Zfcはニコンブランドや背景なども含めた秀逸なデザインと豊富なカラーバリエーションで市場では唯一無二の存在と言えます。
値段はレンズキットが15万円前後と安くはないですが、実際に持った感じだとかなり頑張ったほうだと思います。最初のカメラにはやや高いという意見もありますし納得もできます。たしかに10万円超えてますしね。でもそういう人は今買わなくてもいいと思います。数年で中古で10万円を切る個体が出てくるので待ちましょう。それよりも重要なのが「今は買えないけどいつかほしい」と思ってもらうことです。記憶に残っていれば、ふとしたきっかけ、例えば旅行に行くとかボーナスが入ったとか、そういうタイミングで買ってもらえますし、さらに企業や業界への印象も変わるでしょう。とくに最近のニコンは赤字続きで大丈夫かとよく言われますし、企業に良い印象を持つことは製品を買う上でとても大事なことです。
性能については様々な意見が飛び交っています。フルサイズ…ボディ内手ブレ補正…ゴミ取り機能…レンズ少ない…うるせ〜〜〜〜!!! いいですか? まずZfcは、そういう触ってもいないのにスペックでしか見れないあなた方をターゲットにしていないということを自覚してください。設計のコンセプトや背景、狙いに思いを馳せず本質から逸れたことを言っても誰も楽しくなりません。Zfcの本質とは何か?そう、圧倒的にかっこいいし、かわいい!!その一点を追求した姿が美しいカメラです。多くの人がほしいのは予算ギリギリで買える超素敵なカメラのはず。フルサイズなら値段は下手すれば2倍以上になり手が出しづらくなります。ボディ内手ブレ補正が入っても2〜3万円は上がってボディも大型化したかも。ゴミ取りもレンズもZfcの主な使いみちは現状ほぼ高級コンデジなので問題になりません…ちょっと言いすぎですが。欠点を並べることは簡単にできますし、かっこいいやかわいいという指標は人それぞれなので発信側も受信側もなかなか難しいところですが、Zfcは刺さる人にはとことん刺さるカメラだと思いました。結局おっさんにしか刺さらないデザインではって? むしろ全人類が好きだから安心しろ!!!!!
まさかニコンがこんなマーケティングぶっ刺さりのカメラを出してくるとは。そんな気概があったことに私はとても嬉しいです。予約も絶好調らしいのでこのまま飛ぶように売れてカメラ業界全体を盛り上げてほしいですね。そして次のニコンに期待することはこれしかないでしょう。ピラミッドの頂点に君臨するフラッグシップ機Z9です。マーケティングの次はその性能でファンを驚かせてほしいところです。あと、これから出るZ機のデザイン、ペンタ部の形だけでももう少しなんとかなりませんかね…笑
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